JELC TNG-teens オフィシャルブログ　"Shout to the Lord!!"

《何よりも国の益となるのは王自らが農地で働くことである。》
（旧約聖書／コヘレトの言葉5章8節）
※今回は［聖書協会共同訳］からの引用です。

「ドラゴンクエスト4」というゲームにはソレッタという貧しい架空の国が登場します。ソレッタの王は、国民（農民）と同じように田畑で働いています。ほとんどの王が城の玉座でじっとしているこのゲームにおいて、ソレッタ王は異質な存在感を放っています。

聖書のコヘレトの言葉には、王自らが農地で働くことが国の益となるとあります。ドラゴンクエストの制作者がこの聖句を知っていたのかは分かりません。ドラゴンクエスト4が発売された1990年に存在する文語訳聖書では、「国の利益は全く是にあり即ち王者が農事に勤むるにあるなり」と訳されています。

小友聡さん（牧師）と若松英輔さん（批評家）は、あるテレビの対談で、この聖句について次のように語りました。一方で、農耕は過酷で、自然の言うことを聞かなければならない。他方で、王は力があって何でもできる。これらのことを考えると、力ある者こそ仕える者となり、謙遜であることが必要とされる、と理解することができる。王は色々なことができ、私たちの人生を決定していく存在でもある。そして、私たち一人一人の中にも王がいると思う。現代においては、私たちの中にいる王が、働かなくて良いような人生を探している。その王は、ときに私たちをしいたげる存在にもなるのではないか。「王は働かなくていい、できることなら楽をしたい」という方法の人生とは違う何かを、コヘレトは教えてくれているのではないかと思う（NHK「こころの時代コヘレトの言葉(4)」より）。

イエス様もまた、弟子たちの足を洗うことに象徴されるように、王でありながら仕える方でした。イエス様の奉仕を受けることで私たちは変えられていきます。私たちの中の王は、楽を求める身勝手な者から、隣人に仕える者へと変えられていくのです。